[Studio One] PreSonusオーディオインターフェイス比較(2022年7月)

Studio One

studio one audio interfaces

オーディオインターフェイスとは、PCで音声信号を高音質録音・再生するための装置であり、自宅でそれなりにちゃんと録音したい人にはほぼ必須のアイテムです。

この記事では、定番DAW(音楽制作ソフト)の一角、Studio Oneの開発元であるPreSonus社製のオーディオインターフェイスを比較します。筆者も購入前にいろいろ調べましたが、種類が多く、仕様の違いも理解できず、結局どれを買えば良いのかかなり悩みました。その経験を踏まえて、各モデルの違いと長所・短所を分かりやすく比較し、最後に人ごとに最適なモデルを考えます。今回は、音声入出力が2つずつの入門機5モデルを扱います。入門機と言っても性能は十分で、長く使えます。

他社製も含めた比較は多くのサイトでされていますが、そうなるとPreSonus製がひとつくらいしか出てこず、PreSonus製同士の違いが分かりません。PreSonus製同士の比較をしている記事は日本語でひとつ見つけましたが、今となっては情報が少し古いです(2018年11月)。ここでは、2022年7月時点の情報を掲載します(2020年11月に書いた記事を最新情報に更新しました)。ここで挙げたサイトは、記事の最後に「参考」としてリンクを貼ってあるので、そちらをご覧ください。

全てのPreSonus製オーディオインターフェイスに共通する情報

比較の前に、まず全てのPreSonus製オーディオインターフェイスに共通する情報をまとめます。

Studio One Artistが付いてくる

全てのPreSonus製オーディオインターフェイスには、何とStudio One Artistの最新版が付いてきます(一部の高級機種にはProfessional付き)。Artistは普通に買うと1万円以上するので、非常にお得です。なぜか9千円くらいのオーディオインターフェイスにもArtistが付いてくるので、価格が逆転しています…。他社製オーディオインターフェイスにもそれぞれDAWが付属しますが、個人的にはPreSonusが一番です。Studio One Artist 4までだと外部プラグインが使えない(8千円ほどのアドオン購入が必要だった)というネックがありましたが、5になって外部プライグインも標準サポートされた今、付属DAWだけで考えるとPreSonusの圧勝です。オーディオインターフェイスとしての性能は、特に入門機だと(スペック上は)各メーカーの差があまりないので、これだけでPreSonus製を選ぶ価値があると思います。

有料のプラグインやソフトがおまけ

PreSonus製オーディオインターフェイスには、"Studio Magic Software Suite"という有料の(総額10万円以上するらしい)プラグイン・ソフトウェア17個もおまけで付いてきます。大盤振る舞いです。おまけが多ければ良いというものでもないのですが、このおまけはちゃんと使えるものが多いです。詳しくはこちらの公式サイトをご覧ください。

PreSonus | Studio Magicソフトウェア・スイート - powered by MI7

実際に使用した評価や使い方が書かれているサイトがあまりないので、そのうちレビューを書きたいと思います。

入力はマイクと楽器どちらもOK

これはなぜか説明がなく購入時に戸惑いました。他社製のオーディオインターフェイスだと、ギターやベース等のシールドを差せる入力端子には"Hi-Z"とか"Inst"というスイッチがあるのに、PreSonus製はそれがありません(AudioBox iTwoだけはあり)。ただ"Mic/Inst/Line"と入力端子の近くに書いてあるだけです。Hi-Zは「ハイインピーダンス」のことで、入力時の電気抵抗を大きくすることでギターやベースのノイズを軽減する機構です。PreSonus製は、どういう仕組みなのかよく分かりませんが、Hi-Zスイッチがなくてもマイクと楽器どちらも入力できます。おそらく、フォン端子(ギターシールド等の1ピン端子)接続の場合のみ抵抗を大きくしているのかなと思います。マイク2本やギターとベースの組み合わせなど柔軟に使えて良いです。

コンデンサーマイクが使える

コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクより感度が高く音質が良いとされているマイクです(モノによりますが)。そのコンデンサーマイクを使うのに必要なファンタム電源(48Vと書いてあるボタン)も当然のように付いています。1つのボタンで全入力にファンタム電源が入ります。注意点としては、高電圧なので扱いを間違えると故障の恐れがあることです。とりあえず以下のことを気をつけてください。

  1. ファンタム電源はコンデンサーマイクを使う時だけONにする(コンデンサーマイクを接続してからON、抜く前にOFF)。
  2. ファンタム電源をON/OFFする時は入出力ゲインを最小にしておく。
  3. コンデンサーマイクはキャノンケーブル(3ピンのXLR端子というもの)で接続する。
  4. オーディオインターフェイスをPCから抜き差しする時も、ファンタム電源をOFFにする。

こんな感じです。ギターシールドのようなフォン端子(1ピン)はファンタム電源がONでも電流が流れないので、コンデンサーマイクと共存しても問題ないです。コンデンサーマイク+ダイナミックマイクでどちらもキャノンケーブルの組み合わせは、非推奨です(やったことありません)。

外部電源が不要

他社製も同じだと思いますが、USBバスパワーで駆動するため外部電源不要です。注意点としては、電源ボタンがなくPCに接続すると電源が勝手に入るので、抜き差しする時は入出力ゲインのつまみを最小にしてください。できればPC電源OFFの状態で抜き差しした方が良いです。「ブツッ」という音がしてドキッとすることがあります。

もちろん、外部電源で駆動させることも可能です。PCに接続せず、スマホ充電器のようなUSB-プラグ変換アダプタを使ってコンセントに差せば、単体でも簡易ミキサーとして働いてくれます。何ならモバイルバッテリーでも動作するので、どこでもミキサーになります。ただし、電圧が不安定だとノイズが乗ったり音質が低下したりするらしいので、アダプタやバッテリーはちゃんとしたものを使ってください。USBハブも電圧が不安定になりがちなのでダメと多くのサイトで書かれていますが、筆者は問題なく使えています(オーディオインターフェイスとMIDIキーボードをハブ接続)。ただし自己責任でお願いします。

ちなみに、他社製含め入門機は「PC接続しつつ外部電源駆動」はできず、PC接続する場合はバスパワー駆動のみになります。そもそもバスパワー駆動は電圧が不安定なので音質が良くないという意見もネット上で多いですが、入門機を使う人であれば気にならないと思います。環境によってはノイズが乗ってしまうこともあると思いますが、その場合はUSBポートを変えたりPCを再起動したり、あとはPCでDAW以外のアプリを起動していたらそれを閉じたりしてみてください。

PreSonus製オーディオインターフェイス比較

ここからは本題に入り、PreSonus製オーディオインターフェイスを比較します。まず比較表にまとめ、後でひとつずつ説明します。

商品写真はサウンドハウスへのリンクになっています。写真の下に文字でリンク先を明記しています。両方のテキストリンクがある場合、上にある方が写真のリンク先になっています(本記事の執筆時点で安い方を上にしています)。また、文中の価格は変動の可能性があるので、最新価格はリンク先でお確かめください。

比較表

名称 価格 長所 短所
Studio 24c 17,000円 音質が一番良い 値段がちょっと高い
ioStation 24c 37,000円 Studio 24cとFaderPortが一体化していて省スペース&コスパ高い 値段が一番高い
AudioBox USB 96 12,000円 見た目が良い+安い 音質が一番悪い?
AudioBox iTwo 15,000円 iPadでも録音できる USB 96とiOneより値段が高い
AudioBox iOne 10,000円 iPadでも録音できる+一番安い 入力はマイクと楽器1つずつのみ

特にこだわりがなければ、おすすめは"ioStation 24c"か"Studio 24c"です。以下で説明します。

Studio 24c

Studio 24cは、この中で音質が最も良いモデルです。音質を決めているのは「プリアンプ」という入力信号を増幅する部品で、Studio 24cにはPreSonusの高級機種と同じ"XMAX"という高品質プリアンプが内蔵されています。実際に使ったことがないので違いは分かりませんが…。実を言うと、オーディオインターフェイスよりもマイクや楽器(もっと言うなら歌唱力や演奏技術、そして録音環境)の方が大きく音質を左右すると個人的には思います。なので、「音質が良い」というのはあまり大きな要素ではありません。とは言え、値段がちょっと高いくらいならハイスペックなこれにした方が良いのは間違いないです。

サンプリングレート192kHzまで対応というのも音質面で最高クラスですが、容量が大きくなる上にそこまで変化が分からないため最高音質まではほとんど使われないようです。ちなみにCDは44.1kHz、DVDは48kHzで、Blu-rayだと96kHzや192kHzのものもあるみたいです。筆者は48kHzに設定しています。より影響が大きいとされるビット深度はどの機種も24bitで同じです。USB Type-C接続ができるのも売りですが、音質面ではType-Bと変わらないので大きな利点ではありません。

その他の違いとしては、無線でPCやタブレットからリモートコントロールできる"UC Surface"というソフトに対応しているそうです(詳しいことは分からないので、公式サイトをご参照ください)。

こちらのサイトでStudio 24cで録音した音を視聴できます。他社製との比較になっていてとても参考になりますが、残念ながらAudioBox iTwoやUSB 96はありません。
オーディオインターフェースおすすめ16選!選び方のポイントについても【2020】 | DTM DRIVER!

ioStation 24c

ioStation 24cは、FaderPortというDAWの操作に便利なコントローラとStudio 24cが一体化したユニークなモデル。FaderPortは25,000円くらいするので、別々に買うより安く、しかも省スペースです。そしてカッコイイ。持っているだけでやる気が出そうです。コントローラは使ったことありませんが、DAWに特化しているのでマウス+キーボードよりも作業がはかどるみたいです。予算に余裕があればこれですね。

AudioBox USB 96

次に、筆者が愛用しているAudioBox USB 96。プリアンプは公式サイトにも何が使われているのか書かれていないので、おそらく音質は一番劣ると思われます。ただ、個人的な意見ですが、音質は特に気になりません。入力ゲインを上げすぎたりしなければ、ノイズも入りません。Studio 24cのところで書いたように、録音音質に関してはオーディオインターフェイスの性能より他の要素の方が影響が大きいと思います。比較したら違うのかもしれませんが、PCで録音するには十分ではないでしょうか。価格は、マイクと楽器を自由に2入力できるモデル(つまりAudioBox iOne以外)としては一番安いので、コスパは高いと言えます。

そして、これは完全に好みですが、見た目はこの中で一番良いです。特徴的な色合いと側面の丸みが他と一線を画しています。Studio 24cはこの丸みを踏襲しているようですが、色はこちらの方が好きです。ちなみに、実物は写真よりも深い青です。紺色と言った方が近いかも。

AudioBox iOne/iTwo


AudioBox iOneとiTwoは似たモデルなのでいっしょに書きます。プリアンプはStudio 24cに使われているXMAXではなく"Class-A"というもので(公式サイトより)、わざわざ分けて書かれているということはXMAXより劣るものと思われます。

このモデルの売りは、"MFi"というiPadに接続できる規格に対応していて、iPadを使って録音することが可能なこと。Appleユーザーで、かついろんな場所で録音したい人には良いかもしれません。iOneが最安ですが、iOneはマイク入力とライン入力が1つずつに制限されているので、汎用性を考えるとiTwoがおすすめです。

ちなみに、AudioBox USB 96とAudioBox iTwoは、ヘッドホン、コンデンサーマイク、スピーカーが付いたお得なセットも販売されています(iTwoはスピーカー無しのみ)が、それらは持っていないため情報まで。何せお得なので、試してみても良いと思います。他との比較にもなるし。iTwoのバンドル(スピーカー無し)は3万3千円ほど、USB 96のバンドル(スピーカー付き、色は黒)は3万5千円ほど。

まとめ

以上、PreSonus製オーディオインターフェイスについて紹介しました。それぞれ特徴があり、人によって最適なモデルが違ってくると思いますので、人ごとに最適なモデルを考えてみます。

  1. 予算があって、コントローラも欲しい人は ioStation 24c
  2. コントローラが不要で、少しでも高音質を求める人は Studio 24c
  3. コスパ重視の人は AudioBox USB 96
  4. iPadで録音したい人は AudioBox iTwo
  5. マイクとギター/ベース1本ずつしか繋がない、とにかく安いのが良い人は AudioBox iOne

参考になれば幸いです。

参考

  1. 他社製も含めたオーディオインターフェイス比較: オーディオインターフェースおすすめ16選!選び方のポイントについても【2020】 | DTM DRIVER!
  2. Presonus製同士の比較(2018年11月時点): 各製品の一斉値下げを実施。今、コストパフォーマンスの高さが目立つPreSonusのオーディオインターフェイス群 | | 藤本健の "DTMステーション"
  3. Presonus公式サイトでのオーディオインターフェイス比較(英語): PreSonus Interface Comparison Chart - UPDATED 1-31-20! - PreSonus BlogPreSonus Blog

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